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いより通信 vol.94 (2012年12月号)

定年延長に向けてやるべきこと

みなさん、こんにちは。
2012年も最終月となりました。
今年1年を振り返っていかがでしたか?

我々の分野では「社会保障・税の一体改革」に関連して
労働者派遣法、高齢者雇用安定法、労働契約法などの改正案が
相次いで可決されました。

この中でも特にご相談が多い高齢者雇用安定法の改正に対する対応について
考えたいと思います。

よく聞かれるのが「これからは60歳定年で社員に辞めてもらうことはできなくなるの?」と
いうご質問なのですが、実は高年齢者雇用安定法の前回の改正(平成18年4月1日施行)で
既に企業は社員を65歳まで雇う仕組みつくりの導入を義務づけられています。

企業は次の3つの方法のいずれかを選択しなければなりません。

1)65歳以上に定年を延長
2)定年の廃止
3)60歳定年の場合は、65歳以上まで継続雇用する制度の導入


今回の改正では、3)の継続雇用制度を導入したときに
これまでは定年後、継続雇用をするかどうかは、労使間で定めた基準を満たしているか
どうかで社員の選別をすることができました。(基準については労使協定の締結が必要)


しかし、今回の改正で平成25年4月1日以降は、原則として希望者全員を再雇用しなければ
ならなくなります。(ただし就業規則で定める解雇基準に該当する社員は除外できる)

希望者全員を再雇用しなければならない年齢の上限は平成25年4月1日から
平成28年3月31日までは61歳までで、それ以降再雇用をするかどうかは
労使間で定めた基準を満たしているかどうかで判断をすることができます。

平成28年4月1日以降は希望者全員の再雇用は62歳までとなり、以降段階的に
上限年齢が上がり、平成37年4月1日以降は希望者全員を65歳まで雇用しなければ
ならなくなります。

定年を延長した場合は、定年を廃止した場合は、一定の年齢に達したからといって
給料や労働条件の変更を会社側が一方的に行うことはできず、
社員の同意が必要になります。

継続雇用制度を導入した場合、多くの会社は1年契約での嘱託社員等にしているので
契約更新の際に労働条件の見直しを行い、会社側は社員に提示することが可能です。

とはいえ、人件費の負担増や、配置する職場の確保などの対応が必要になります。
これまで60歳定年でほとんどの社員が再雇用を希望せず退職していた会社であったとしても
平成25年4月1日以降は年金の受給開始年齢が61歳になるので、継続雇用を希望する社員が
増加することが予想されます。

定年延長の流れに逆らうことはできないので、これまでは60歳定年をゴールに設計していた
賃金体系を65歳まで雇用が続くという前提の給与体系に変更していくことや
一定年齢以上になったときは、年齢給の昇給はストップし、役割や役職で昇給をするように
するなど、「お荷物社員」がズルズルと65歳まで会社に居続けるという状況を阻止する
仕組みをつくっていく必要があります。

年功序列の賃金体系としている会社は賃金カーブの見直しをおこなうこと。
成果主義の賃金体系でグレード別の賃金体系を導入している場合は
ひとつの等級にステイできる上限年数を定めるなどして
(一定期間で昇格出来ない場合は降格とするなど)
昔取った杵柄で給料だけは高いけれども、今の職務体系では力を出せていない
社員や、マネジメント業務ができない社員についてはシビアな対応を
今後はしていく必要があります。

いずれにせよ、65歳までの雇用を見越して、定年後の社員の雇い方を見直すだけではなく
社員全体の賃金体系や評価制度を見直す時期に来ているのではないでしょうか。

12月給与の注意事項

1.年末調整をおこないましょう。
扶養家族の変動がある場合、健康保険の扶養の異動の手続きが必要な場合があります。

■平成24年 年末調整の注意事項はこちら(国税庁 HP)


2.賞与支払い後の賞与支払い届の提出と、源泉所得税の納付をお忘れなく。
厚生年金保険料が9月から変更になっています。
夏季賞与の保険料計算シートを使われる場合は保険料率の変更をしてください。

今月の気づき

先月は10月30日に発売になりました新刊『社長!非常識社員はこう扱いなさい』の販促で
かなりバタバタしておりました。
本を書いていると、「よろしいな、印税生活で左うちわでっしゃろ」とよく言われます。
初版から100万部刷ってもらえるような文芸の大先生ならまだしも、我々ビジネス書の著者は
自ら販促活動をしないと売れないので、本が出たら献本をしたり、
販促ハガキを送ったり、紹介してくださったブログにコメントを入れたり
時間もお金もかなりかけています。


出版不況と言われていますが、毎月新刊がどんどん書店に送り込まれてきます。
売れる本は、平積みや面陳をしてもらえるので、人の目につき、
さらに売上げが加速するのですが、売れない本は、よくて棚差し、
悪くて返品という憂き目にあうことになります。


返品になってしまったら、その本屋さんでは、人の目に触れることはありませんし
棚差しになったら、売れる可能性がかなり低くなります。

新刊は、ほとんど平積みにしていただけるので、その間が勝負なのです。
本を紹介してくださったブログを、フェイスブック等で拡散したり、
自分の周りの人だけではなく、周りの人の先にいる人達、ひいては
全くつながりのない人達に買ってもらえないと、増刷はありえず
ひっそりと初版だけで終わってしまう本になってしまうのです。

印税で左うちわをめざしているのではなく、今、世の中に必要な情報であると信じて
時間をかけて、本を書いています。
本はわが子も同じ。産み落としたからには花道を歩かせたいと強く願っています。

ぜひぜひ、みなさんのまわりの方にも新刊をおススメいただければと思います。
どうぞよろしくお願いします。

■新刊『社長!非常識社員はこう扱いなさい』詳細はこちら

(2012年12月発行)

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