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いより通信 vol.177 (2019年11月号)

働き方改革~残業が少ない会社はよい会社なのか

みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。

早いもので今年もあと2ヶ月になりました。
当事務所では年末調整業務も請けており
年末に向けて、いつもに増して忙しい日が続きそうです。

ホームページの「お知らせ」にも掲載しているように
8月の終わりからスタッフの募集をかけていますが
2ヶ月経過した今もまだ決まっていない状況です。

すでに20人近い方と面接をさせていただきましたが
スキルに不安があったり、条件が折り合わなかったりで
なかなか採用に至らず、ずっと求人活動が続いています。

長く一緒に働いていただける方をと考えており
慎重に選びすぎているのだと思いますが
よい出会いがあることを信じて、
引き続き求人活動を続けたいと考えています。

さて、今回、採用面接をしていて、気づいたことがあります。
面接に来てくださるくださる方の多くが「在職中」なのですが
「なぜ転職を考えているのか」をお聞きしたところ
「前は残業があったけれども、今は残業がすくなくなった。
もっと働いて稼げる職場に転職をしたいと思ってます」と
おっしゃる方がとても多いのです。

うちの事務所で募集しているのはパート職員さんで
「週3日から、1日1日5時間以上の勤務でOK」としています。
手続業務の補助をしていただくことを想定しており
これまで給与計算等の手続の経験者で
今は子育てがあり、長い時間働くことはできないけれども
何らかの形でキャリアをつなぎたいと考えておられる方が
応募してくださることを想定しての条件設定でした。

ところが今回は、子育ての手が離れた年代の方の応募が多いからか
「残業ができます!」とアピールされる方が多く、
うちの事務所は、フルタイムでも1日6時間勤務で
所定労働時間が短い上に残業も土日出勤もないことを伝えると
ガッカリされるのです。

来春以降、中小企業についても残業時間の上限規制が
適用になります。
私のクライアント様の多くが中小企業ですが
今春スタートした年次有給休暇の強制消化と併行して
残業時間の削減に取り組まれています。

うちの事務所同様、クライアント企業においても
新規採用が難しく人員の増員ができない中で
有休消化や残業削減をすることで
ひとりあたりの実労働時間が減っています。
それでも業務をこなすために、システムを導入したり
外注を使ったり、お金も知恵も使って、相当努力されています。

「働き方改革に取り組むのは法規制があるから」
という理由もありますが、そうすることが従業員さんのためになると信じて、
歯をくいしばって取組を進められているのだと考えています。

その結果、残業が少なくなったことを理由にして
従業員が転職を考える・・となると、なんのための
取組だったのかだったのかとならないか心配しています。

働く人の声を聞いても、年次有給休暇が取りやすくなったことは
大歓迎であるが、休んだことによる仕事のしわ寄せが
通常の営業日にくるにも関わらず残業規制があるため
みんな、余裕がなくなっている、という声も聞こえてきます。

うちの事務所の求人に応募してくださるパートタイムで働く
人については、残業がなくなることは、収入減に直結するため
深刻です。

休みを取りやすくする、定時に帰りやすくすることには賛成ですが
もっと仕事をしたいと考える人に対する救済措置として、
今は副業・兼業もしくは起業しか示されていないように感じるので
今の会社で時間を気にすることなく働きたいと考える人に
対応できる方法があるとよいなと考える次第です。

 


 

11月給与の注意事項

1)年末調整の準備をしましょう。

参考

国税庁 令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書記載例

国税庁 令和元年分 年末調整のしかた

今月の気づき

10月から大学院の後期の講義が始まりました。
事務所の業務も人員不足で大変な中
大学の講義の準備や、11月にお客様のところで
担当させていただくハラスメント防止研修の準備などで
1ヶ月があっという間に過ぎました。

ハラスメント防止研修は、10年くらい前に
大阪市男女共同参画センターからご依頼をいただいたのをきっかけに
企業内研修のご依頼が相次ぎ
今年はクライアント企業様で、東京と大阪で合計9回担当させていただきます。

パワーハラスメント防止措置を企業に義務付けた規定が盛り込まれた
労働施策総合推進法が来春以降施行される予定です。

パワハラにつについては、指導との線引きが難しいこともあり
これが黒、これは白とハッキリ判断しきれないのが現状です。

しかし、「やってはいけないこと」という認識を企業内で
共有するという意味で研修実施は有効だと考えています。

研修では、事例について、意見を出し合うことで
「何が正しい」を知ることよりも
「人(年代・性別)によって、同じことでも受け止め方が異なる」ことを
知ってもらえる機会になると考えています。

ちまたでは「ハラミ会」という名のハラスメントを未然に防ぐために
(主に男性管理職の)同年代・同性だけで飲む会があるとかないとか・・

部下や女性を誘って、後々ハラスメントだ、といわれることを嫌って
ということですが、これが正解だとは思いません。

終業時刻後の飲み会は、自由にやっていただければよいですが
(今の若い人はそもそもアフターファイブに会社の人と
関わりたくないと考える人も多いようですし・・)
業務時間中に、注意・指導をしなければならない場面でも
ハラスメントを未然に防ぐことを考える余りに、積極的に
部下に関わらないというのは困ります。

職場は色々な考え方の人が集まる場であり
当然その中で軋轢は生まれます。
職場にいるひとりひとりが少しずつ相手の思いによりそうことで
かなり軋轢も減ると考えます。
(満員電車でひとりが少しずつ奥に詰めるイメージで)

研修では、そうした気持ちの持ちかたについても
お話させていただきたいと考えてます。

かなり準備ををしたので持ち時間で終われるかどうかが
今の一番の懸念事項です。


 

 

(2019年11月発行)

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