いより通信:タイムリーな社会保険情報・助成金情報労務相談事例などを発信中!

いより通信 vol.108 (2014年02月号)

ルールは会社を守ってくれない

みなさん、こんにちは。
2014年になって あっという間に1カ月が過ぎました。
今年は6日スタートだったので、本当に慌ただしかったです。
毎月、月初に送付させていただくお客様への請求書の発送業務が
後回しになり、お客様の方から、「請求書がまだ着いてませんけど」と
ご心配をいただく始末。
大学院の1年目の授業が終わったので、少しは落ち着くことを願っています。

さて、冷凍食品への農薬混入事件という食品への信頼を
揺るがす事件が起きました。

容疑者は工場で働いていた契約社員。
会社への不満からの犯行かと言われています。

この事件で、親会社のマルハニチロHDおよび
アグリフーズの社長が3月末で辞任。
さらにこの事件により、マルハニチロHDは
減収100億円、営業減益幅22億円、特別損失35億円になる
見込みだそうです。

>>東洋経済オンラインより

同社だけではなく、食品業界の信頼を揺るがすほどの大事件になりましたが
もし自社の社員だったらどうですか?

「性善説」を取るのか「性悪説」を取るのかで、常日頃のリスク対策が
変わってくると思うのですが、ハッキリ言えることは
「ルールだけでは会社は守れない」ということです。

我々、社会保険労務士はお客様から就業規則作成の相談をよく受けます。
服務規律を厳しくしてほしい、懲戒規定を厳しくしてほしい、などのご要望が多くあります。
ただし、いくらルールを厳しくしたとしても書いているだけで、
具体的な対策をしていなければ、何か大きなことがあったときに
損害は会社が被ってしまうということを今回の事件は示しています。

すなわち、同社においても、「私物の職場への持ち込み禁止」
「危険物の職場の持ち込み禁止」「他の職場への出入り禁止」などの
規定は当然あったかと思います。

しかし、規定をより実効化するために
持ち物の検査を徹底していたのか
他の職場への出入りができないように管理をしていたのか、というと
その点が疑わしいのでは、と感じるのです。

データの持ち出しを禁止したいので、情報管理の規定をつくって
もらいたい、というご要望の会社がありました。
しかし、よくよく聞いて見ると、同社ではアクセス権限が設けられておらず
誰しもがほとんど全ての情報を見ることができる、とのこと。

規定をつくって、違反した社員を懲戒解雇したところで
情報持ち出しによる会社の損害は、社員個人からは回収しきれません。
会社がやるべきことは、規定を作るだけではなく、実際にそうならないように
対策を打つことではないでしょうか。

もちろん、規定は規定で必要です。労働契約を結ぶ上でのルールとなります。
しかし、規定だけではダメなのです。

人を疑うのは気持ちがよいことではありません。
しかし「これくらい大丈夫だろう」と思って対策を打たないのは
対策を打つのに費用がかかったり手間がかかるから、という
会社側の都合ではないですか?

会社を守る、そして会社のために働いてくれている多くのまともな社員を守るために
「それをされると本当に困ること」に対する具体的な対策を練るようにしていきたいですね。

今後、我々もルールをつくるだけではなく、一歩踏み込んで
お客様にそれをするために具体的に何をしていかれますか?ということを
ヒアリングさせていただき、必要であれば、各分野の専門家を紹介して
企業のリスク管理の実効性を高めるお手伝いをさせていただきたいと思います。


 

2月給与の注意事項

2月給与の注意事項は特にありません。
4月の昇給査定に向けての面談等の準備をしましょう。

今月の気づき

2月27日に新刊が発売になります。
今月号のいより通信のメインタイトルが
「ルールは会社を守ってくれない」としたので
大変書きづらいですが・・・
会社に有利なルールのつくりかたの本です。

社員と会社は労働契約で結ばれています。
「契約」は「約束」で成り立っているので
約束を結ぶ際に、できるだけ会社に有利な方向で結ぶために
知っておきたい基礎知識を書いています。

ご存知のように、労働契約を結ぶ際には
労働基準法や労働契約法などの法律に抵触しないように
しなければなりません。

小さな会社にとっては頭の痛いところだとは思いますが
法律も読み方次第で使い道があるので、そのあたりを
メインに書いています。

内容は、労働時間、給料の決め方(残業代)、人の雇い方、辞めさせ方という
経営者の方から相談が多い事項にしぼって書いております。
特に今回は、ブラック企業と言われるリスクがあったり、
残業代問題の根幹にある「労働時間」について
かなりのページ数を裂いて書いております。

まさに今、原稿の最終チェック中です。
今回もぜひみなさまに応援をいただきますようお願いします。

(2014年02月発行)

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