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いより通信 vol.65 (2010年07月号)

ハラスメントのない職場にするために

ここ数か月、精神疾患の休職者に対する対応についてご相談を受けることが増えました。私の感触では社員数の100人に1人くらいの割合で休職者がいるように感じます。

精神疾患になる原因としては、本人が元々持つ気質の問題もあるでしょうが、職場の人間関係のストレスが原因である場合も多々あるようです。

さかのぼること10年、バブルの崩壊以降の失われた10年で日本の終身雇用制度は崩壊し、職場には派遣社員や契約社員、中途採用者などが入り乱れ、成果主義の導入により、人を育てるという風土は薄れ、短期で成果を求められるようになりました。

本来であれば、部門のまとめ役となるべきリーダーにも、プレイヤーとしての働きを求められるようになり、部下の指導というよりも結果に対する叱責を行う場面が増えたのではないでしょうか。

職場でのパワハラが原因で、うつ病になり、自殺。遺族が労災認定を申請し、そのまま会社に対しても損害賠償請求を行うという事案がここ数年急増しています。平成21年3月に労災の精神疾患の認定基準に、職場でのいじめも項目のひとつに加えられました。

昔はがんこ親父が町内に1人はいて、子どもたちが路上で騒いでいたりすると、どなられたものです。しかし今や子どもが路上で遊ぶ姿はなく、他人の子どもを叱るような大人もいなくなっています。
私が小学生の頃は先生からの叱責は日常茶飯事でした。しかし、今はPTAがうるさくなって子どもたちは廊下に立たされることもありません。

叱られることなく大人になった世代に対しての旧世代の熱血指導は、パワハラと捉えられる危険性が高いということです。

とはいえ職場での指導をしなければ、次世代を育てることはできません。パワハラといわれないための注意点をいくつか挙げますね。

  1. 大きな声で感情的にどならない
  2. 「親の顔が見てみたい」「一体どんな育てられ方をしたんだ」などと、直接業務に関係のないことを言わない
  3. 飲みにケーション発想は危険。アフターファイブの付き合いは強要しない
  4. できない部下に仕事を与えないのもパワハラになる

指導する立場の人間からすると、自分たちが上司にされてきたことは、今ではやってはいけないことになっている感じがするかもしれませんが、そんな時代になっているのです。
対応していかなければ、部下が長期休職に入ってしまったり、場合によってはその家族から職場でパワハラがあったと訴えられてしまう危険性もあるのです。

「そんなことぐらいで」と思う気持ちがパワハラを起こしてしまう原因のひとつとなります。その行為がパワハラであったかどうかは、行為者が判断するのではなく、被害者が判断するものです。人権に配慮し、誰でも自分の意見が言いやすいような職場環境をつくっていきたいですね。

7月給与の注意事項

  1. 労働保険の年度更新の申告期限、第一期保険料納付期限、社会保険算定基礎届提出期限、特例納付をしている場合の源泉所得税の納付期限は7月12日です。
  2. 賞与の支払いがある場合は、原則賞与支払日から5日以内に賞与支払い届けを管轄の年金事務所に提出しましょう。

今月の気づき

3冊目の本のタイトルと発売日が決まりました!『「営業ゼロ」で年商2000万 稼ぐ社労士の集客術』というすごいタイトルになりました。発売日は7月29日から書店に並ぶ予定です。

年末から企画書を書いていて、企画が通ったのは2月でした。それから4か月。本業の合間に原稿を書いていたのですが、これがなかなか大変でした。

今までの本は実務書で法律の説明だったので、「これが絶対に正しい」という基準がありました。労働法関係であれば、判例もありますし、一定の判断基準があります。

しかし、今回の本は、自分自身のノウハウを書いたものですので、「これが絶対に正しい」という基準がありません。
資金もなく、お客様もなく、仕事もなかった4年前。そこから、なんとか人を雇って自分で事務所を運営することができるようになるまでに自分がやってきたことを書いています。

自分もそうでしたが、資格を持っていると、それで安心してしまい、「資格さえあれば、なんとか食べていける」なんて思いがちなんですが、同じ資格を持っている人は実は世の中にたくさんいます。資格を持っていなくても、労務管理のアドバイスができる人もいます。

その中で仕事をやっていくには、資格の上に安住するのではなく、意識して行動を起こさなければなりません。しかし営業をしたからといってお客様が増える仕事でもないので、私が「営業ゼロ」でお客様を増やしてきたノウハウを書いています。

社労士の実例で書いていますが、他士業の方、またスモールビジネスで自分が看板で仕事をされている方にお役立ちになる本だと思います。ぜひ書店で手にとってご覧くださいね。

(2010年07月発行)

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