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健康保険証廃止について
みなさん、こんにちは。
社労士の井寄です。
2025年の最終月になりました。
毎年同じことを感じますが
月日が流れるのが早いです。
先日、大阪大学大学院法学研究科に
博士論文を提出しました。
私の2025年は、ほぼ論文生活でした。
提出を終えて1週間が経過し
今は、お客様にお待ちいただいていた
業務に没頭する日々です。
さて、とうとう2025年12月2日以降、健康保険証が
使えなくなります。
本稿では、会社勤め(社会保険加入)の方を
前提として、会社の総務担当者が知っておくこと
という視点でお伝えします。
まず、巷では「健康保険証が使えなくなる」と
いうタイトルで、主として
「マイナ保険証」への移行をすすめる記事を
よく見かけます。
ただ、みなさんもご認識のとおり
「健康保険証」が廃止されて
マイナ保険証を所持していなくとも
保険医療は受診できます。
(健康保険料を負担しているので当然です)
《2025年12月2日以降の医療機関受診にかかる整理》
①従来の健康保険証(プラスチックカードもしくは紙)⇒医療機関で使えません。
(会社で回収の必要なし・本人が処分(いずれにせよ使えないため)
②医療機関の受診方法
㋐マイナ保険証を持っている人⇒マイナ保険証で受診
㋑マイナ保険証を持っていない人⇒資格確認書(プラスチックカードもしくは紙)で受診
以上
結論としてマイナ保険証がなくとも資格確認書で受診可能です。
「資格確認書で受診ができない」とするネット記事を
見かけたことがあるのですが、おそらく「資格確認のお知らせ」(紙)と
混同しているのだと思います。
「資格確認のお知らせ」(紙)では受診できません。
「資格確認書」を使えば受診できます。
「資格確認書」と「資格確認のお知らせ」は異なります。
(どちらかの名前を変えてほしいです)
それだけ、ご注意ください。
《マイナ保険証と資格確認書の混在で生じている実務上の問題点》
社員が退職する際に、扶養家族も含めて資格確認書の所持の有無を確認し、
所持をしている人については、回収して健保組合等に返却する必要があります。
(旧 健康保険証と同じ)
回収の必要があるため、誰が資格確認書を所持しているのか
記録をしておいた方がよいのですが、
会社が手続きをしなくとも資格確認書が発行されるケースがあります。
マイナ保険証所持者がマイナンバーカード自体の更新を怠り
有効期限切れとなった場合、自動的に資格確認書が発行され
会社宛に送付されます。会社から社員に交付することになります。
そのあと、当該社員(扶養家族含む)が
マイナンバーカードを更新し
マイナ保険証が復活した場合、
当該社員は資格確認書とマイナ保険証と重ねて所持する人になります。
資格確認書を会社が回収する必要があるのは
社員が退職するときと
扶養家族が扶養から外れるときのみですので、
資格確認書所持者が
マイナ保険証に切り替えた場合などは
回収の対象外となります。
会社の手続きを簡素化するという視点では
マイナ保険証が広がるとありがたいのですが
マイナ保険証と紐づいているマイナンバーカードが
作成するか否かと、作成者についても更新の管理について
社員本人に委ねることになるため、そうした意味で
管理が煩雑になっていると感じます。
マイナ保険証所持者と資格確認書所持者の
2パターンに完全に分かれておらず
厳密には
①マイナ保険証のみ所持者
(ただし更新漏れなどで資格確認書が発行される可能性あり)
②マイナ保険証+資格確認書所持者
➂資格確認書のみ所持者
(ただしマイナ保険証に切り替える可能性あり)
①➂の( )の人が②になるという形になっており
退職時の回収という視点では、マイナ保険証の所持は関係なく
誰が資格確認書を所持しているのかを把握する必要があることになります。
移行の過渡期であるので生じ得る問題だと思いますが
すでに面倒だと感じています。
12月給与の注意事項
1)年末調整を進めましょう。
国税庁 「令和7年分 年末調整のしかた」
2)交通用具(公共交通機関利用ではない)利用をする場合の通勤交通費
の非課税枠の変更を令和7年4月に遡っておこなう必要があります。
年末調整での対応が必要です。
令和7年中の退職者で対象者がいる場合は、退職時の源泉徴収票の再発行が必要です。
今月の気づき
冒頭でもお伝えしましたように、2025年11月21日に博士論文の提出がかないました。
「労災保険制度と事業主ー保険料負担者の視点からの考察」というテーマで書きました。
私は、法学部出身ではありません。
社労士の仕事をしていて、法律(労働法)をきちんと学びたいと考え
2013年4月に、関西大学大学院法学研究科(修士課程)に、社労士会の推薦枠を使って入学しました。
そちらは2年で無事に終えたのですが、2年だと学び足らず、
2016年4月から、大阪大学大学院法学研究科 博士後期課程に、社会人枠で入学しました。
博士課程は3年ですが、最初から3年では終わらないと思っていたのと
そろそろ本腰を入れないと・・と考えていたタイミングでコロナ禍になりました。
雇用調整助成金の対応で1年くらい研究のブランクがあったり・・で
結局、在籍期間を1年延長していただき7年在籍しましたが
在籍期間中に論文は終わらず、2023年3月に単位取得退学をしました。
単位取得退学をしても3年間は博士論文の提出ができることから
その後も取組を続け、3年の上限となる今年に
なんとか提出がかなったことになります。
仕事やおつきあい、家族など色々ありますが
2025年は論文ファーストで、おつきあいは特に
断りまくりました。
それでも時間が足りなかったので
相当覚悟が必要だと感じました。
今年終わることができたのは
指導教授と相談して
各段階での期限設定を設けて
それをひとつずつクリアしていった
からだと考えています。
こう書くと当たり前のことなんですが
これまではできていなかったですし
研究だけに没頭できない立場である限り
時間の使い方をかなり工夫しないと
期限を守るのは容易ではないと感じました。
長くなりましたが
これまで応援ややご心配いただきました
みなさまに感謝申し上げます。
この経験を糧に、今後も物事を掘り下げて
考えることを続け、言語化して考えを伝えることを
意識して活動していきます。
(2025年12月発行)










