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いより通信 vol.202 (2021年12月号)

傷病手当金制度改定(R4.1.1)とメンタル疾患対応休職制度

みなさん、こんにちは!
社会保険労務士の井寄です。

2021年も最後の1ヶ月になりました。
感染症の罹患者も一気に減り
オフィス街も、ターミナル駅もすごい人出です。

静かな風景に慣れてしまっており
人混みを見ると恐怖心さえ覚えますが
コロナ前は大阪はインバウンドのみなさんで
もっと人がたくさんいたんですよね。
今では信じられないです。

さて、令和4年1月1日より、健康保険制度が改定され
傷病手当金の扱いが変更になります。

■傷病手当金の改正について

傷病手当金は、業務上以外の傷病で労務不能になり
労務不能の期間について賃金の支払いがないときに
休業1日あたり、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額を
30日で割った額の3分の2が健康保険制度から支払われるというものです。

令和3年12月31日までは、支給開始日から1年6か月が経過するまでが
支給対象期間とされていました。
例えば、令和2年1月1日から傷病手当金の支給が開始された場合
令和3年6月30日までが支給対象期間となります。

当該労働者が、令和2年1月1日~5月31日まで休職(5か月受給)し
その後復職したが、再度同じ病気で 令和3年5月1日から休職した場合
傷病手当金は6月30日までの2か月分しか受給することはできませんでした。

しかし、令和4年1月1日以降は、支給開始日から1年6か月分(日数分)の
傷病手当金の受給が可能になりました。

前出のケースでいうと傷病手当支給可能日数546日
1回目休職(1月1日~5月31日) 151日間 ですので
同じ病気で再度休む場合は、395日(546日ー151日)分は
傷病手当金の対象となります。

なお、令和4年1月1日以前に、傷病手当金を受給している
場合も改正後の通算規定は適用になります。

例えば令和3年4月1日から8月31日まで5か月休職し
その後復職したが、11月1日から再休職に入ったケースで考えると
改正前の受給可能期間⇒令和4年9月30日まで
改正後の受給可能日数 ⇒ 548日から令和3年12月31日までの使用日数を引いた日数
使用済み日数 ⇒ 令和3年4月1日~8月31日 153日 
         令和3年11月1日~12月31日 61日
         合計 214日
令和4年1月1日以降の傷病手当金受給可能日数 ⇒ 548日-214日=334日 となります。

 

■メンタル疾患対応休職制度

同じ病気で繰り返し休むケースとして
メンタル疾患があげられます。

ただし、企業としては、傷病手当金の受給可能期間等は直接関係なく
自社の休職規定に基づいて、私傷病休職者の対応にあたることとなります。

休職制度は、労基法や労働契約法で定められたルールはありません。
企業ごとに就業規則にそのルールを定めることとなっています。

休職制度は、業務以外の理由で傷病になり、労務提供ができなくなった
労働者の解雇猶予の性質があるとも言われていることから
企業ごとに自由にルール設定ができるとはいえ
例えば労基法で定める解雇予告期間である30日より短い休職期間とした
場合は、休職期間満了で退職扱いとした場合に、
相当性の部分で争われる可能性が極めて高いといえるでしょう。

労働者は、人間ですので誰でも病気になりえます。
企業はその前提で労働者を雇い入れていると考えられることから
就業規則の解雇事由に「精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき」を
示していたとしても、一定期間の療養で回復が見込める場合は
休職制度を適用し、雇用を維持したまま労働者の回復を待つのが
相当であると言えるでしょう。

休職期間について、有給の病気休暇を設けている企業もありますが
そもそも、労働者側の事由により労務の提供がない場合、
企業は賃金を支払う義務はありません。
休職期間は無給とし、傷病手当金の受給としている企業も多くあります。

休職制度については、休職命令の相当性が争われる事案、
復職の可否判断が争われる事案等が想定されますが
それらのトラブルを避けるためにも、実務上は、
①発令から復職(リハビリ出勤も含め)のルールの整備、
②休職期間中の給与の支払いをどうするか(社会保険料等の立替も含め)
③休職期間の長さが相当であるのか検討
④休職を繰り返す場合、通算とするのかどうか
などを整備し、休職となった労働者(場合によっては家族も交えて)
説明する必要があると言えます。

規定整備だけではなく、業務フローの確認、見直しも
併せて進められることをお勧めします。

 

12月給与の注意事項

1)年末調整をすすめましょう

2)賞与支払いがある場合は賞与支払い届の提出をしましょう

3)雇用調整助成金について、令和4年1月1日以降に支給対象期間の始期がある場合、支給率の見直しがあります。
参考)厚生労働省「令和3年12月1日以降の雇用調整助成金の特例措置等について」

◆年末年始休暇のお知らせ ◆ハラスメント防止研修のお知らせ

◆年末年始休暇のお知らせ

令和3年12月29日(水)から令和4年1月4日(火)まで年末年始休暇とさせていただきます。
その間のお問い合わせはメールもしくは問い合わせフォームからお願いします。


なお、3年前から年賀状は廃止させていただいております。

 

◆ハラスメント防止研修いたします。

令和4年4月1日から中小企業に対してもパワハラ防止のための雇用管理上の措置をとることが義務付けられます。
ハラスメント防止のための従業員への周知、相談窓口の設置および対応等が求められます。
つきましては、ハラスメント防止研修 および 相談窓口担当者の研修を承ります。
 

詳細は問い合わせフォームからお問い合わせください。

◆ハラスメント防止研修の実績(直近のものがアップデートできていませんが)はこちら

今月の気づき

博士論文の提出期限が12月1日でした。
ギリギリまで頑張ったのですが
結局間に合わず、提出することができませんでした。

特に10月・11月は土日も深夜も論文にかかりっきりでしたので
指導教官との最終面談で
「この状態では今回の提出は難しいですね。次の機会にしましょう」と
なったときに(自分でも、もちろん自覚していましたが)
しぼんだ風船のようになってしまいました。

大学での先生の面談を終えて、呆然とする中
一番先に向かったのは、数か月行けなかったタイ式マッサージでした。

歯医者、皮膚科、発酵浴など行くのを我慢していたところの予約を済ませ
20時に帰宅して早寝しました(3時に目覚めましたけど)

週が明けて後回しにしていた仕事をどんどん片付けたりして
1週間が経過したとき、12月の予定がすごいことになっている
ことに気づきました。

12月1日に論文を出したあとは仕事に集中できるという前提で
大きめかつ期限が短い業務を入れていたこと、
さらに数か月我慢し続けていた食事会を複数入れていたこと
これらに加えて、終わらなかった論文を終らせるミッションがあります。

論文が出せなくて楽になった、と思っていたら、それは一瞬のことで
論文完成というミッションは残っているので、しんどいのが先延ばしになった
(濃度が薄まった薄まっただけ)ということに気づきました。

世の中は、コロナ禍がなかったかのように、わさわさなっていますが
まだまだ引きこもり生活を続けたいと思います。

論文は次の提出まで時間ができたので、今回のようにやっつけではなく
自分が納得できるよう完成度を高めたいと考えています。


 

(2021年12月発行)

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