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いより通信 vol.189 (2020年11月号)

生業の存在意義を考える

みなさん、こんにちは。
社会保険労務士の井寄です。
今年は台風も少なく、私が生活をしている
大阪は気持ちのよい秋晴れの日が続いています。

オフィス街には人が戻っており
通勤の時間帯の電車も混みあっています。

ただ、大企業を中心に、緊急対応の一時的なものではなく
正式な制度として在宅勤務を正式に導入されたところも多く
オフィス街に完全に人が戻ることはなさそうです。

コロナを通じて働き方や人の動きが変化したと
考えることができるでしょう。

オフィス街の昼間人口が減り、
夜についても、大人数での会合が制限されている状況で
オフィス街の飲食店の閉店が日に日に増えています。

事業を辞めるとどうなるか。
事業は経営者だけのものではありません。
そこで雇用される労働者の生活はもちろん
取引先、顧客など、多くの人がそこに関与しています。
また、飲食店などでは、単に店(事業者)と客(利用者)との
金銭的なやりとりだけではなくやりとりだけではなく、
客と客との交流の場を提供しているとも言えます。

私も経営者のひとりです。
事業を存続を考えない経営者はいないと思うので
「辞める」の選択は相当な決断だと推察します。

事業を続けていると、良いこと悪いことの繰り返しです。
仕事の依頼はあっても、こなすだけのマンパワーがない
人はいるけれども仕事がない、
今回のコロナのように外的要因で仕事をしたくともできない・・などなど。

ただ、良いときも悪いときも、自社(生業)の社会的存在意義を考え
自社の何が世の中に必要されているのかを冷静に見極める必要があります。
必要にされている内容=強みだとすれば
その強みをどう活かしてビジネスにつなげるのか、
場合によっては事業形態の変更も選択肢には含まれるかもしれません。

時代に合わせた変化は必要ですが
「生業の存在意義」を外れてしまうと
支えてくれる人たちを裏切ることにもなってしまいます。
軸足をしっかりもって、考え、行動して存続をはかりたいものです。



 

 

11月給与の注意事項

1)年末調整の準備をすすめましょう。今年は大幅な変更があります。
 

2)令和3年1月1日施行で、育児介護休業法の改正があり、子の看護休暇および介護休暇の1時間単位での付与制度が義務付けられます。就業規則の見直しをすすめましょう

3)令和3年3月1日から企業における障害者雇用率の引き上げが実施されます。。従業員数43.5人に1人の障害者雇用が義務付けられます。法施行までに雇用率を満たしているかどうかの確認と満たしていない場合は人員の確保に努めてください。

4)令和3年4月1日施行で、高年齢者雇用安定法の改正があり、65歳までの雇用確保措置(現在も義務)に加えて、70歳までの雇用確保措置が「努力義務」となります。自社の高齢者雇用について、現状のルール・運用を改めて見直しましょう

今月の気づき

お気に入りのカフェが閉店になることを、お店の店員さんから聞きました。
コロナ期間の休業を経て、現在も時短営業かつ定休日を減らしておられました。
オフィス街に人が戻らなかったことが大きな要因だったようです。


広めの店ですが、主はドリンクなので、坪あたりの売上げ高が低かったことが
経営を圧迫したんでしょうね・・
 

ここ数年、仕事の合間に珈琲を買いに言って、お店のスタッフと話しをして
気分転換して、仕事に戻る、が自分の生活スタイルの一部でしたし
コロナ期間、短縮営業でテイクアウトのみ対応されていたときも
励ましあって、あのどんよりした不安な時期を乗り越えてきたのに
お店がなくなってしまうなんて・・・
 

お店の売上げが芳しくないことはスタッフの方も当然気づいており
年内くらいかな・・と覚悟は決めていたようですが
突然の閉店決定で不安な表情を見せておられました。


週に2?3回、1杯500円のカフェラテを買っていたに過ぎませんが
大事な場所がなくなる前に何かできることはなかったのかと
モヤモヤしています。


コロナと主要スタッフの退職で、店主の心が折れて
閉店を決意したあるお店は、店主がその心境をSNSで書いたことで
お店の存続を願う協力者が現れて、スタッフの確保もできて
今は順調にお店の経営を続けておられます。


お店はお客様に対しサービスや物品の提供をするだけではなく
本当に困ったときは、お客様に助けを求めるのも有りではないかと
考えるのです。


金銭的なことでなくとも、お店をどんなシーンで利用したいかなどの
ヒントをもらって活かすこともあるかと思います。
(自店が期待されされている役割を認識する)


そうするためには、単なる「お客」ではなく
お互いにとって必要な存在になることであり
不特定多数と流動的な関係を築くよりも
お店を本当に愛してくれる顧客との関係性を
強めることが大切なのかなと感じます。


そしてこの考えは、飲食店だけでなく
すべての人間関係に必要なことではないでしょうか。
 

オンラインでたくさんの人と気軽につながることができる
世の中だからこそ、リアルでの人間関係や場を
大切にしていきたいと感じました。
人は人によってしかによってしか癒されないと私は考えています。



 

(2020年11月発行)

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