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いより通信 vol.179 (2020年01月号)

2020年の労務管理について

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

みなさま、年末年始休暇はゆっくり過ごされましたでしょうか。
年次有給休暇の5日間の強制付与義務の件もあり
いわゆる大企業にお勤めの方を中心に
年末休暇を前倒しで取られた方も多いようです。

12月31日の深夜まで仕事をしていた
私にとっては夢のような話ですが
「休む」を絶対前提として
休めるための仕組み作りをしているからこそ
できることなんだろうだろうと考えます。

2020年は、時間外労働の上限規制が
中小企業にも適用になります。

2020年4月1日以降に締結する36協定において
1ヶ月45時間、1年360時間までという限度時間が
法定化されます。

これを上回る協定は締結できなくなり
これを上回る時間数の残業をさせることができなくなります。

ただし、特別条項を付ければ
年間720時間まで、月99時間まで
(ただし2~6か月平均で80時間以下に収める必要あり)
年間6回までは限度時間を超えることができますが
特別条項の上限時間も法定化されました。

本気で取り組まないと間に合わない状況になっています。
まずは、自社の労働時間を適正に把握し
いつ誰が何に時間を取られているのかを分析した上で
対応策を練る必要があります。

弊所は、職員は短時間勤務で残業0で運営しておりますが
それは、最終的に私が働けばよい、との考えがあるからで
抜本的な改善にはなっていないと感じています。

今年は、特に手続代行(給与計算を含む)の業務について
お客様の手間もは省いた上で、ミスなく漏れなく
迅速に行うことができるよう、改善を進めることを
決めています。

なお、労働時間の問題は、王道で、時間自体を減らすように
してください。「働かせているにも関わらず、労働時間とみなさない」等は
絶対にやってはいけないことです。
債権法改正で民法における時効が5年になりました。
賃金債権については、暫定的に3年(現在は労働基準法において2年)
原則5年(いずれ暫定措置がなくなる)となる予定です。

労働時間に対して適正な賃金計算がなされていない場合
会社は将来に向けて負債を積み重ねることになります。

「取り組まなければならない状況」になっていることを
認識の上で具体的な行動にうつしてください。

 

1月給与の注意事項

1)源泉所得税の特例納付をされている会社は1月20日が7月から12月分の納付期限です。
12月賞与の支給があった場合、賞与の所得税の支払いもお忘れなく

2)税務署への法定調書の提出、市町村への支払い調書の提出期限は1月31日です。

3)労働保険料を3分割で支払っている場合、1月31日が3期目の納付期限となります。

4)今年の祝日は、東京オリンピックの関係で通年と異なる取扱いになっています。

今月の気づき

2020年は東京オリンピックがあり、気持ちが高揚しそうですが
昨年からすでに景気の冷え込みを感じています。

高齢者の雇用を70歳までに・・と言い出した瞬間に
50歳以上の労働者に対しての退職勧奨や
希望退職の募集が大手企業を中心になされています。

その理由は定年延長のみならず、バブル期前後に入社した
社員の賃金の高さにあると考えます。
賃金は高いが、今の技術についていけない年代の
雇用維持を企業があきらめたとも考えられます。

さらに春から大手企業に対し、日本版「同一労働同一賃金」が
適用開始になります。
能力と賃金がアンバランスな正規雇用の社員がいることで
非正規雇用労働者との均衡待遇・均等待遇を考える際に
会社にとっては好ましくない状況になることも想定されます。

65歳までの雇用延長措置が義務付けられた時点で
小会社出向等の枠も埋まりつつあり
55歳以降に就かせるポジションが足りなくなることもあり
50歳以降の人員について、整理をしたいというのが
企業の本音だと考えます。

年初早々、大手企業の副業・兼業解禁についても報道がなされています。
ただし、副業・兼業に関する事前調査においては、
自社の労働者が他社で副業・兼業をすることは想定していても
自社に副業・兼業者を受け入れるとしている会社は半数以下です。

副業・兼業を認めることと、定年までの雇用保障をすることは
相反する概念のように感じます。
会社は定年までの雇用を保障してくれないことを前提に
自社のみならず他社でも通用するスキルを自らの意思で
身につけなければならない時代がやってきたと言えるでしょう。
 

(2020年01月発行)

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