いより通信:タイムリーな社会保険情報・助成金情報労務相談事例などを発信中!

いより通信 vol.100 (2013年06月号)

「やったらやり返される」の法則

みなさん、こんにちは。社労士の井寄です。
大阪は梅雨に入り、蒸し蒸ししています。
かと思うと、朝晩は肌寒かったりして、
衣服の調整が難しい季節になりました。

私は傘を持ち歩くのが嫌いなので、どんどん事務所に
ビニール傘が増えていきます。

会社員だった頃はビニール傘を持ち歩くなんて考えもしなかったですが
最近は100円ショップで気軽に買えることもありますし
全く抵抗がなくなりました。不思議ですね。

さて、私の自宅の前の道は地元の小学校の通学路になっています。
朝、ベランダで洗濯物を干していると、傘を持った小学生が
学校に向かって歩いていました。

チラっと見た感じは小学2年生か3年生くらい。
男の子同志が手に持つ傘で相手をつついたりしていました。
それを見た女の子がバシっと一言。

「もういい加減に止めとき。やったらやり返されるで」

やったらやり返される。
人の嫌がることはしない。
いずれに自分にふりかかってくる。
この感覚があるからこそ、
他人に対して無茶なことはしない、という
抑制が働くのではないでしょうか。

先日、拙著『残業ゼロ!ミスゼロ!」の給与計算事務』
お読みいただいた読者の方からご質問をいただきました。

164ページに書いてある、給料を過払いしていた場合の
返金請求の時効についてのお問い合わせでした。

扶養家族の変動があったにも関わらず届け出がなされておらず
家族手当を3年間過払いしていたという案件でした。

拙著には「賃金債権の時効は2年」と書いておりますが
過払いの場合は不当利得の返還請求にあたるので
民法167条の債権等の消滅時効である10年間が適用されるのでは、という
ご質問の内容でした。

弁護士さん、さらに大学で民法の教授に確認をしたところ
民法167条の10年が適用とのことでした。
(ただし悪意のある「不正受給」の場合は、不法行為の損害賠償請求と
なるため3年)

ただし、実務上は、厳密には労働保険料の修正、社会保険料(算定)の修正を
するときには2年間しかさかのぼれないことや、2年を超えると返金額も多額になるため
2年とされている会社が多いように感じます。

残業代等、会社側の未払いがあるときは時効は2年になりますので
そちらとのバランスもあります。

もちろん法律の解釈では「バランス」などは考慮に入らないのですが
相手が人間である限り「なんでやねん」という感情が芽生えると
「いつかは仕返しをしてやる」という気持ちにつながります。

人間関係がよい会社はすべて、「誰誰さんに助けてもらったから今度は私が
役に立ちたい」と皆が考えるような会社であり、ギスギスしている会社では
「誰誰さんには、無茶を言われてばかりなので、機会があればやり返してやる」
という空気が流れているように感じます。

会社側が社員に対して、何かをするときは、ギリギリまでこちらの
要求を通すのではなく、(企業秩序を守るための規律はもちろん必要ですが)
状況を見た上で、一歩譲って折り合いをつけることも大事ではないでしょうか。

 


 


 

6月給与の注意事項

1.労働保険料の申告書がお手元に届いているかと思います。平成25年度の年度更新の申告期限(および納付期限)は7月10日です。

詳しくはこちら>>労働保険年度更新にかかるお知らせ

 

2.協会けんぽに加入にしている事業所さんは、被扶養者調査があります。(組合健保に加入の事業所さんは各健康保険組合にお尋ねください)

詳しくはこちら>>被扶養者資格の再確認について

 

3.6月給与の支給が終わったら算定基礎届の提出準備を行いましょう。(提出期限 7月10日)

4.今月給与より新年度の住民税額になります。登録の変更を行いましょう。

今月の気づき

大学院に通学を始めて2か月が経過しました。
授業の発表準備があり、かなり忙しい毎日を送っています。
発表の資料を作成するために、かなりの資料を図書館で
集めて読んでおります。

実務での運用と法律で決まっていること、めざしていることの
乖離に悶絶しながらも、「学問」と割り切って分析をしていると
また見えてくることもあります。

ここ2か月で、何か問題があったときに、法律関係はどうなっているのかの
分析と、しかし相手は人間なので、実務としてはどう対応していくのかの
二本立てで物事を考えることができてきたのでは、と感じています。

まだまだ入口に立ったばかりですが、すでに24か月のうちの2か月が終わりました。
夏休み等を入れると、実質は16か月しかないのでもう8分の1が終わったことになります。

今月は算定・労働保険もありますので事務所での仕事も忙しくなります。
限られた期間、忙しさを楽しみたいと思います。


 

(2013年06月発行)

お問い合わせフォームはこちら