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いより通信 vol.80 (2011年10月号)

人の器が会社の器

写真その1みなさん、こんにちは。社労士の井寄です。
台風が過ぎて一気に秋らしくなりましたね。

先日、大阪の門真市にある松下幸之助歴史館に行ってきました。

◎松下幸之助歴史館

http://panasonic.co.jp/rekishikan/

関西が生んだ偉大な起業家としての松下幸之助さんの書物は、以前よりかなり読んでいましたが、歴史館で初めてその肉声(録音ですが)を聞くことができました。

当日はパナソニックの社員さんにも同行していただいたので、実際の仕事の現場で幸之助さんの声がどのように活かされているのかを聞くこともできました。
「モノをつくるまえにヒトをつくる」がパナソニックの精神とのことで、まずは社員教育を徹底しているとのことでした。

しかし、現実を考えてみると、「まずは社員教育」と社員に先行投資をできる余裕がある会社がどのくらいあるでしょう。思いはあっても、日々目の前にあるお金になる仕事をしてもらわないと成り行かないという会社も多くあるでしょう。

しかし成長路線を目指すのであれば、社員を育てる仕組みをつくっていくことは中小企業であったとしてもこれからは必須のことだと思われますし、実際にここ数年で、成長している会社が投資をしているものは明らかに「設備」から「人材」に変化しているように感じます。

数年前から定期の新卒採用を始められたある製造業の会社(従業員数80名)の経営者に 話を聞いたときはこうおっしゃいました。

「大企業と中小企業の違いは働いている人の「数」ではなく、人の「質」やねん。
働く人の質(クオリティ)をあげていかないことには、中小企業はいつまでたっても中小企業でしかおられへんねん」

定期的に複数名の新卒採用を行い、人を育てる仕組みをつくることでこの会社は、30年先にも100年先にも生き残ることができる強い体質の会社をつくろうとされています。
強い体質の会社をつくることで、さらによい人材の採用ができ、それにより会社経営が安定するとのこと。

新卒採用のコツは毎年定期的に採用を続け、3年目の社員は2年目の社員に、2年目の社員は1年目の社員に仕事を引き継いでいく仕組みをつくることだそうです。後輩ができたとき、また人に仕事を引き継ぐときにグッと成長するいうことです。
さらに複数名採用することで同期での絆やいい意味での競争心が芽生えるとのこと。
ちなみにこちらの会社はこの不況時の中、昨年度過去最高の収益を上げられたそうです。
今後人手さえあえれば「誰でもできる仕事」は、単価競争に巻き込まれ、生き残りがますます厳しくなっていきます。
それぞれの人が持つ知恵が「付加価値」を生みだすことになります。いかに知恵を引き出す仕組みをつくるか、さらに、のびしろを持った社員をいかに採用できるのかが生き残りのためのキーワードと言えるでしょう。

タイトルに書いた「人の器」の「人」は従業員も指しますが、同時に経営者も指します。どのような仕組みをつくって、会社をどの方向に向けて動かすのか、また社員がどのように育つのかは経営者の器次第ということもできるでしょう。

10月1日からNHKで松下幸之助夫妻を描いた『神様の女房』というドラマが始まっています。同じタイトルの書籍もダイヤモンド社から発売されています。

◎NHKドラマ『神様の女房』

http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/6000/89737.html

◎書籍『神様の女房』(高橋誠之介著:ダイヤモンド社)

http://www.amazon.co.jp/dp/4478013993

松下幸之助さんが生きた時代と現在は違うと思われるかもしれませんが、同じ時代を生きた経営者であっても皆が松下幸之助さんのようにはなれなかったことを思うと、その生き方について学ぶことは多いのではないでしょうか。

松下幸之助歴史館については入館無料ですので、関西の方、また他の地方の方も関西に来られる機会があればぜひのぞいてみてくださいね。

10月給与の注意事項

  1. 9月から厚生年金保険料率が変更になっています。翌月給与で社会保険料の徴収をされている会社は10月支給分から変更してください。
    →日本年金機構のホームページに保険料額表がアップされています。
    http://www.nenkin.go.jp/main/employer/index6.html
  2. 翌月給与で社会保険料の徴収をされている場合、算定の結果が10月給与から反映となります。
  3. 最低賃金が変更になります。最低賃金を目安にアルバイトの時間給を決めておられる場合はご注意ください。最低賃金は本社の所在地ではなく、事業所がある所在地で適用になります。
    ここに示しているのは地域別のものですが、産業別の最低賃金もあり、いずれか高い方が適用になりますのでご注意ください
    例)大阪/786円(平成23年9月30日から)京都/751円(10月16日から)東京/837円(10月1日から)神奈川/836円(10月1日から)
    ■地域別の最低賃金の詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
    http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-02.htm
    ■産業別の最低賃金はこちらでご確認ください
    http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-19.htm

今月の気づき

8月に始まった引っ越し関連のバタバタがようやく落ち着きました。9月13日に開催した事務所開きは、延べ70名の方にお越しいただき、一時は事務所に入れないくらいになり、熱気にあふれていました。

お祝いでいただいたシャンパンが何本も抜かれ、乾杯が何度も何度も繰り返されました。事務所のゼロ歳のお誕生日のケーキもご準備いただきました。
こちらもお祝いでいただいたたくさんのお花に囲まれて、みんなでワイワイガヤガヤ。
お越しいただいたみなさんからは「やっぱりお祝い事の席はいいね!元気になるわ」と口々におっしゃっていただきました。

うちは小さな事務所で、資金力もありませんし、大きなことはできませんが、こんなに素晴らしい人たちに囲まれているのは、何よりもの財産だと思っています。
そして自分ができることは、人が集まる場を提供することだと考えています。

事務所移転をきっかけに、少人数での交流会<いよりサロン>の開設を考えています。ワインなど飲みながら情報交換をしたり、弁護士さん、税理士さんなど他士業の専門家に、聞いてみたかったことを聞ける場にできればよいなぁと思っています。

現在リニューアル中のホームページに詳細は掲載しますので、ご興味がある方はのぞいてみてくださいね。新ホームページについては来月のいより通信でご案内ができるかと思いますのでどうぞお楽しみに。

(2011年10月発行)

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