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いより通信 vol.33 (2007年11月号)

最低賃金が変更になっています

こんにちは。社会保険労務士の井寄奈美です。
いつも大変御世話になり、ありがとうございます。

すっかり秋らしくなりました。昨日は子ども達が5年生が地域のふれあい農園で栽培したお米を精米したものを持ち帰ってくれました。家族で炊きたてをいただいたのですが、本当においしかったです。

さて先月から最低賃金が変更になっています。アルバイトや定年後再雇用の高齢者の給与や、お給料を基本給と固定残業費に分けておられる場合、要注意ですので、ご確認お願いします。

最低賃金というのは都道府県ごとに産業別で定められています。
チェックする際にはまず産業別で確認し、産業別の分類に含まれない場合はその他の産業の最低賃金を確認することになります。
今年度改定されたその他の産業の分ですが、大阪府731円、京都府700円、兵庫県697円、滋賀県677円、東京都739円、愛知県714円等となっており10月からすべて施行になっています。ご注意くださいね。

尚、最低賃金以上の賃金を支払わないと経営者に罰則があります。労働者の合意があっても無効になります。一部障害者等を雇用した場合で最低賃金が除外になる場合もありますが、その際は労働基準監督署に除外認定の申請が必要です。
決められたお給料が最低賃金以上になっているかどうかの確認方法ですが、時給者の場合は、時給が最低賃金以上になっているかどうかを確認下さい。

月給者の場合は、月給から除外賃金(皆勤手当・通勤手当・家族手当・時間外賃金)を引いたものを、平均所定労働時間で割り、時間単価を出します。
その時間単価が最低賃金以上になっているかどうかをご確認下さい。

従業員さんのお給料の決め方についてご不明な点がございましたら当職までお問い合わせ下さい。

11月給与計算時の注意事項

年末調整の準備を始めましょう。扶養控除申告書の配布、及び生命保険料控除証明書の準備を促しましょう。今年度から定率減税が廃止されました。また損害保険料控除が改組され、従来の「短期」のものは除外になっています。但し地震保険については対象になること、「長期」については平成18年12月31日までに契約したものに限り、引き続き損害保険料控除の対象になっています。

今月の気づき

先月、地裁判決ですが、初めてパワハラによる自殺に対し労災認定を命じた判決が出ました。

精神疾患によるうつ病発症が原因の自殺、過重労働が原因とされる心疾患が労災と認められた場合、どうなるのでしょう。遺族にとってはかけがえのない家族を会社に奪われたことになり、労災からの給付だけではなく会社の安全配慮義務違反ということで損害賠償請求、及び慰謝料の請求をされることになります。

会社は、金銭的な痛手もありますが、何より企業イメージのダウン、現在いる従業員のモチベーションダウン、裁判や家族との交渉で経営者もかなり時間の拘束をされることになり、精神的負担も大きいことになります。 パワハラが起こる企業風土、時間外を野放しにしている企業風土をまず改善していくことが大切です。

会社経営を上向きにするためには、働く人のモチベーションを上げることが重要です。働く人が、それぞれ向上心を持ち、決められた時間内に効率よく仕事をしてもらえれば、長時間の時間外労働が発生するということもありません。 会社と働く人は「雇用契約」で結ばれています。「契約」である限りお互いの義務と権利をしっかり認識して経営者は働く人が気持ちよく働くことのできる職場環境の整備に注力すべきだと考えます。

共に成長するために、また人間としての成長を手助けするくらいの気持ちで働く人と接することが大切です。 そのためには他人を尊重する気持ち、他人に対する感謝の気持ちを常に持つことが大切です。

長い目で見て人の育成が会社経営にとって大きなプラスになるのです。WIN-WINの関係を目指したいですね。

(2007年11月発行)

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