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いより通信 vol.129 (2015年11月号)

「女性活躍推進法」の成立に関して感じること

みなさん、こんにちは。
中国経済が不安定、さらにアメリカの中央銀行であるFRBの
ゼロ金利引き上げも断念され、来年に向けて、世界経済はどうなるのか
不安を抱えたまま年末を迎えようとしています。

わが国においても、少子高齢化が叫ばれ、労働力人口は年々確実に減少しています。
現在、毎年行われている厚生年金保険料率の引き上げも2017年(平成29年)には
引き上げ水準の上限に達するため、以降は、その範囲の中で給付水準を調整する
保険料水準固定方式がとられることとなります。

すなわち、これまでは給付水準維持方式がとられていたため
年金受給者が増えると保険料を上げて対応していたのですが
今後は、集めることができた保険料の範囲で年金給付を行うことになります。

少子高齢化で労働力人口が減り、さらに非正規社員の増加は
賃金水準が引き下がることを意味します。
これらはすべて保険料収入が減ることにつながります。

政府は非正規社員の正社員化をすすめ(キャリアアップ助成金など)
さらに平成28年10月1日以降は以下の要件を満たすパートタイム労働者に対しても
社会保険への加入を義務づける
こととしました。


①週所定労働時間 20時間以上
②月額賃金88,000円以上
③勤務期間1年以上
④学生は適用除外
⑤従業員数501名以上の企業

そんな環境の中、平成27年8月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が成立しました。
労働力を確保するためには、女性の雇用促進と、地位向上による賃金引き上げを狙ったものです。

働く女性にとって、さらに女性を雇う企業にとっての最大のネックは
出産・育児、さらには介護問題です。

出産・育児・介護については、度重なる法改正により
法律上は、子育てをしながら(もしくは介護をしながら)
仕事を続けることができる環境を整えているように見えますが、
長時間労働や、出張、転勤などを前提とした日本型雇用慣行の中では
組織の中に育児・介護などにより、それらができない人がいると
他の人にそのしわ寄せがいってしまい、人間関係がギクシャクしたり、
さらに組織が硬直化は、人事担当者の悩みの種となっています。

しかし、今後は働く上でハンデがある人(敢えて私生活上での都合を
「ハンデ」と書きます)、これは男性・女性関係なくですが、
これらの人と、労働条件の摺り合わせをしながら
かつ、周りの社員とのバランスをとりながら、
うまく働いてもらう環境作りが必要です。

環境つくりをする際に、ハンデのある人たちだけに配慮を
するのではなく、全体の労働時間削減であるとか、
年次有休休暇の取得促進などに
取組む必要があります。

これまで、配慮が必要な人にだけ配慮をし
その他の人にその分の負担を押しつけてきたので
現場では混乱が起こり、結局配慮を受ける人が職場に居づらくなって
会社を去ってしまったり、業務の負担が重くなった社員が体調を崩してしまい
休職者となり、残った人の負担がどんどん重くなっていくという流れを
導いていたように感じます。

さらには、労働契約というのは、提供することができる労務のサイズと
反対給付である賃金は均衡が取れていて然るべしだと私は考えます。

育児・介護、さらには私傷病等で従前の労務の提供ができない場合
反対給付である賃金についても柔軟に見直しができる制度を整える
べきだと考えるのです。

私的事由が原因で、残業も転勤もできないけど、
給料や地位はこれまでと同じで、というのは厚かましいと私は考えます。
働きと給料のバランスの見直しができれば、私的事由により
従前の業務ができなくなった社員の業務の負担を担う
周りの人の給料を上げていくと、不公平感が解消されるのではないでしょうか。

「地位向上」「活用」など前向きキーワードの連呼もよいのですが
人は自分ひとりで仕事をしているわけではないので
組織で、皆が納得感のある中でそれぞれの事情に応じた働き方をし
提供することができる労務に応じた賃金を得る、というのが
理想的ではないかと考えるのです。

11月給与の注意事項

1)年末調整の準備をしましょう。

国税庁 平成27年分 年末調整の仕方

注)平成28年以降の扶養控除等申告書について、個人番号の記載を省略することができます。
詳細はコチラの国税庁FAQ (Q1?9)をご確認ください

 

 

今月の気づき

朝晩が冷え込むようになり、秋が深まってまいりました。
10月5日というXデーが過ぎましたが、マイナンバーが届きました!という報告は一件もなく(笑)
その間に、最大の懸念事項だった扶養控除等申告書への
マイナンバーの記載を省略することができる方法が国税庁から発表され(Q1?9)、
これまでバタバタと動いていたことが取り越し苦労であった感じが否めません。

こんなことだったら、
「個人番号が自宅に届いたら、持ち出す、見せびらかす、などせずに
大事に保管をしてください。いずれ会社が手続に必要なときは声をかけるので
そのときにはご協力ください」だけ従業員さんに伝えておけば十分ではないのか。

保管についても、従業員数100名以下の企業であれば、クラウドで管理とかしなくとも
紙に書いたもの、もしくは通知カードのコピーをファイルしたものを
金庫に入れておけばよいではないのか、感が漂っております。

これから年末調整、賞与の支給等でバタバタしますので
当事務所ではマイナンバーのことはひとまず置いておいて
漏洩してはいけない秘密はできるだけ預からない、で
必要になったときに必要な分だけを確認させていただくという方向で
行こうかなと思うのであります。

マイナンバー制度導入を機会に改めて業務フローの見直しや
書類の保管方法等の見直しができたのはよかったですが
なにか、周りに踊らされた感が否めないです・・

(2015年11月発行)

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