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いより通信 vol.70 (2010年12月号)

リーダーのあるべき姿とは

とうとう2010年も最後の月になりました。2008年9月のリーマンショック以来の不況が続いていますが、会社によっては、経済が低迷しているこの時期だからこそ、組織のあり方の見直しをされているところが多いように感じます。

「組織の見直し」とは決して人員削減を指すのではなく、リーダーを育てて、指揮命令系統を作り出すことを言います。
本業が忙しいときは、全員現場で働かざるを得ず、中小企業ではマネージャーは社長だけで他は全員プレイヤーであったり、経営者自らもプレイヤーを兼ねている会社が多くありました。

しかし、プレイヤーばかりでは組織は大きくなりません。志を同じくして、確固とした組織をつくり出すためには、働く人に、「仕事の報酬は仕事で与える」という仕組みをつくる必要があるのです。

優秀なプレイヤーが優秀なマネージャーになるのではありません。プレイヤーとマネージャーは求められるものが違うのです。

私が新卒で入社した会社は従業員数100名くらいの中小企業でしたが、組織図というものがありました。会社には組織図がある、と思いこんでいたのですが、この仕事を始めてから従業員数20名?30名の会社には組織図はないことに気付きました。
すなわち営業担当や経理担当はいるけれども、すべて社長の直轄でフラットな組織なのです。

自社が存在する意義はなにか。自社で仕事をすることで働く人は何を得ることができるのか、など価値観の共有をして、会社の目指すところと個人のめざすところのすり合わせをすることが大切です。そのためにも、みんなに目指すところを示すリーダーの存在が必要なのです。

しかし、中小企業の経営者には組織作りが苦手な人も多いように感じます。そもそも組織を経験したことがない人も多くいるので、リーダーを育てる必要がある、と感じていても、リーダーに担わせるべき役割の明確なイメージを持つことができないのです。

そんな中小企業の経営者にお薦めの本を見つけました。『そうか、君は課長になったのか。』(佐々木常夫著/WAVE出版)

著者の佐々木さんは東レ出身。ですので元々は大企業の中間管理職向けに書かれた本なのですが、初めて部下を持つすべての人にお薦めの本です。私自身も、人を雇ってから日が浅いので参考にさせていただくところが多くありました。

中小企業の経営者は思いはあっても、それを言葉に表したり、制度に落とし込むのが苦手な人が多いように思います。言わなければ伝わりません。苦しい ときにも一丸となり、また多忙なときにもみんなが力を出し切るような組織をつくりたい、ですよね。新しい年に向けて、ぜひ自社の組織の見直しに取り組まれ てはいかがでしょうか。

12月給与の注意事項

  1. 賞与の支払いがある場合は、賞与支払い届の提出が必要です。ゼロの場合はゼロで届出をしてください。源泉徴収税の納付もお忘れなく。賞与の保険料については、厚生年金保険料が9月から改定になっています。夏季賞与と保険料率が変わっていますのでご注意を。
    http://www.nenkin.go.jp/main/employer/index5.html
  2. 年末調整をしましょう

今月の気づき

11月はなんと講演が5回もありました。中でも東京の明治大学で話をさせていただいたことが、とてもいい経験になりました。
明治大学では、経営者会報ブログのお仲間の久米信行さんが担当されている「ブログ起業論」で特別講義としてお話をさせていただきました。

8月に久米さんからこのお話をいただいたときから、3か月。ずっと何を話そうかなぁって考えていました。『ブログ起業論』といっても、私はブログを特別活用しているというほどでもないですし、私に何が伝えられるのだろう、と思い悩んでいました。

考え抜いた結果、いい格好しようとか、何かを伝えようとか気負わずに、自分の経験を話すことにしました。22歳の彼らと今の私との違いって生きている年数しかない、と思ったからです。

私は将来について明確なビジョンがあったわけでもなく、やみくもに仕事をしていく中で得たこと「人に喜んでもらうってうれしいなぁ。人に認められるってうれしいなぁ」を追求してきたに過ぎないのです。

しかし、この「何のために」の根っこが見えていないと、続けることもできないし、つらいときに立ち上がることもできなくなると思います。

成功体験というよりも6回の挫折で学んだことを中心にお話させていただき、学生さんから様々な感想もいただきました。普段関わることのない世代の人達と交流する機会をいただいた久米信行さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

私も自分の周りの人にチャンスを与え続けることができる人間になりたい、久米さんを見ていて心からそう感じました。

(2010年12月発行)

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